不動産投資にはリスクが伴いますが、
これから家賃収入を目的に不動産投資を始めようと検討中の人にとって、
- どんなリスクがあるのか?
- リスクに対してどのような対策をしておくべきなのか?
というのは気になるところだと思います。
そこで、10棟ほど運営中の私が考えるリスクと対策について書いてみようと思います。
記事のタイトルでネタバレしていますが、それぞれのリスクについて解説していきますので、ぜひ読んでみてください。
【リスク1】空室が埋まらない(入居者が見つからない)
一番困るのは、せっかく購入した物件に入居者が入らないことです。
基本的に不動産投資は、不動産を誰かに貸して賃料をいただくビジネスモデルですから、借りてもらえなければ賃料を受け取ることができません。
賃料をいただけない不動産は、「負」動産と呼ばれることもあるように、お金が儲かるどころか逆に吐き出す物件になってしまいます。
不動産は持っているだけで税金(固定資産税)がかかるんです。
入居者が見つからない原因は、いくつも考えられます。
- 引っ越して来る人がいない地域(=賃貸需要の無い地域)
- 近隣の物件との競争に負けている
- 建物に魅力がない
- 家賃が相場と比べて高すぎる
つまり逆に言うと、空室リスクを減らすためには、
賃貸需要のある地域で、
競合物件と比べて魅力のある物件を、
競合に負けない賃料で提供すれば良いのです。
しかし・・・言うのは簡単ですが、
当然、需要の高い立地であり魅力的な物件ほど、買いたい人は多くなります。
すると、利回りは低くなってしまいます。
利回りの低い物件は、初期投資の回収に時間がかかります。
初期投資の大きい物件は、将来の選択肢を狭めます。
結局、このような誰もが欲しい物件を買っていては、あまり儲からないことになってしまいます。
つまり、単純に条件の良い物件を買うのではなく、収支と安定性のバランスの良い物件を選ぶべきだと思います。
注目されていない(売れ残っている)物件の中から、いかに条件の良い(入居付けのしやすい)物件を選ぶか?
ここが、不動産投資の肝と言えます。
【リスク2】家賃の滞納が続く
入居者がみつかり、無事に賃貸契約を結んだとしても、家賃を払ってくれない(払えない)入居者が一定数います。
一般的には、15組に1組ほど、相場より家賃を低く設定した場合は10組に1組ほどの割合まで上がることもあります。
家賃の入金が1ヶ月遅れる程度でしたら、それほど致命的にもならないのですが、数か月、1年と続くようでしたら経営に支障が出てしまいます。
また、滞納された家賃であっても、税務・会計上は家賃を受け取る権利を得たという意味で、売上として計上する必要があります。
つまり、お金を受け取っていないにも関わらず、税金がかかってくるということです。
(滞納家賃を受け取る権利を放棄すれば売り上げに計上する必要はありませんが、なかなかできません。。)
こういった面でも、滞納期間が長ければ長いほど、経営を苦しくしてしまいます。
滞納に対しては、私は2つの対策を取っています。
- 家賃保証会社を必ずつけること
- 滞納への初期対応を早く行うこと
たいていの人は、滞納したくて滞納しているわけではありませんから、早めに対処することで、長期滞納のリスクを抑え、ダメージを最小限に抑えることが可能です。
【リスク3】自然災害や戦争により物件が滅失、半壊
大家にも入居者にもどちらにも責任のない不可抗力により、物件が破損する場合があります。
- 火災
- 地震
- 水害(洪水や土砂災害など)
- 戦争
これらのうち、自然災害への対策は、火災保険が担います。
あまり知られていないようですが、火災保険の補償範囲は広いです。
火災だけにとどまらず、地震、風水害や雪害、飛来物による破損など、さまざまな自然災害や事故が含まれます。
建物が大きく破損した場合の修繕費は高額になりがちですので、手厚い保険に加入しておくべきだと思います。
特に、地震保険、施設賠償特約は、私は必ず入っています。
【リスク4】突発的に大きな原状回復費、修繕費、賠償責任がかかる
入居者が退去すると、通常は修繕を行って次の入居者探しを行いますが、このときに大きな費用がかかる場合があります。
また、入居中に物件の修繕が必要になる場合がありますが、シロアリや水漏れなど、場合によって大きな費用がかかるときがあります。
当然、入居者の責任で壊れたり汚れた部分については費用の請求を行うのですが、そうでない場合は、大家の負担になります。
この突発的な出費に対策する方法もいくつかあります。
- 大家側で火災保険の破損・汚損特約に加入しておく
- 入居者に、家財保険や個人賠償責任保険に加入していただく
- 手元にキャッシュを持っておく
突発的な事故によって建物が破損した場合は、建物にかけた火災保険が使える場合があります。
例えば、台風等で飛来物によって屋根が壊れた、みたいな場合です。
集合住宅で水漏れが起きた場合など、日常生活の中で故意に起こした事故でない場合は、入居者の個人賠償責任保険がおりる可能性があります。
そして保険で賄えない場合もありますので、手元に資金を確保しておけるよう意識しておくことも重要です。
【リスク5】管理会社や家賃保証会社など関連会社が倒産
管理会社が倒産すると、家賃の振り込みが滞ったり、入居者さんとの連絡が取れなくなったりなどの不都合が生じます。
また、家賃保証会社が倒産すると、入居者さんに保証がついてない状態になり、滞納や夜逃げなどへの対応が難しくなってしまいます。
どのような会社でも倒産するリスクはありますから、対処すると言っても現実的には非常に難しい問題です。
できることと言えば、事前にできるだけ、その会社の財務状況や収益構造を調べておき、定期的に確認するくらいでしょうか。
「会社が倒産する」=「借金が返せなくなった場合」ですから、こういった状況になりやすい財務状況やビジネスモデルの会社は注意して使いましょう。
例えば、財務諸表を公開している会社でしたら、流動資産の比率を確認しておくとか、
大きな借り入れを行って在庫を持ち、キャピタルゲインを取るような事業を行っている不動産会社は景気に左右されがちです。
【リスク6】保有物件の家賃が下落
築年数が比較的新しい物件を運用する場合、建物が古くなるにつれて家賃が下落するリスクがありますが、これはリスクと言うか当たり前の話なので、あらかじめ家賃下落を想定して計画を組んでおくことで回避できます。
対処が難しいのは、迷惑な人が入居して他の入居者が退去してしまうとか、自殺や孤独死をはじめとする事件現場となってしまった場合です。
こういった場合、相場通りの家賃では入居者が決まらない状況になる可能性があります。
孤独死に関しては、大家側で保険に入っておくことができますが、それ以外は対処は難しいです。
家賃下落に対して、不動産投資家がとれるリスク回避方法としては、これらだと思います。
- 仮に家賃が半分になっても運営して行けるように借り入れの割合を下げておく
- 解体して更地で売却しても利益が出るように安く購入しておく
【リスク7】流動性が低く現金化に時間がかかる
一般に不動産の取引価格は大きいため、売りたいときにすぐに売れることは稀です。
魅力の少ない物件は特に売りにくいです。
しかし、相場より安い価格で売り出すことができれば、比較的売りやすくなりますので、相場より安い価格を付けられる不動産を保有することが、回避策になります。
つまり、不動産の現金化に時間がかかるリスクを回避するためには、
- 購入時に相場より安く購入しておくこと
- 購入時の資金を早期に回収できる不動産を購入しておくこと
この2点に気を付けて購入していれば、比較的短期間で手放すことができます。
【リスク8】インフレリスク・金利上昇リスク
不動産の賃料は、景気に左右されにくい性質を持っています。
これはつまり、不景気の局面でも収益が落ちにくいというメリットでもありますが、逆に好景気の局面では賃料を上げにくいというデメリットでもあります。
特に、インフレが起きて金利上昇の局面では、賃料は上がらないのに銀行への返済金利は上昇する。
こういったリスクがあります。
こういった金利上昇リスクに対応するためには、以下の方法があります。
- 物件購入時に自己資金を多めに入れて返済比率を抑えておく
- 融資の期間を短めに設定しておき、予測できる期間で返済を完了する
- 売却しやすい物件を選んで保有しておく(インフレ局面では不動産価格も上昇します)
結局、物件購入時に相場より安く購入しておくことが、一番のリスクヘッジです。
【リスク9】デフレリスク・保有物件の価値が下落
インフレリスクの逆ですが、デフレによるリスクもあります。
デフレ局面では、保有物件の価値は下がっていきますが、前章にも書いたように賃料は景気に左右されにくいため、収入が突然下がることは考えにくいです。
ただ、景気が悪い状況が続くと、入居者の経済状況も悪くなりますから、滞納や退去などによって賃料が得られなくなる場面は十分考えられます。
このようなリスクに対応するためには、このような点に気を付けておきます。
- 空室があってもキャッシュフローがマイナスにならないよう事業計画を立てておく
- 退去があっても次の入居者が見つかりやすい物件を保有する
- 売却しなくても持ち続けられる物件を選んで保有しておく
ここでも結局、物件購入時に相場より安く購入しておくことで、リスクへの対応がしやすくなるのは同じです。
【リスク10】納税リスク
不動産投資の最大のリスクは納税リスクかもしれません。
税金が払えなくなって不動産を手放すことになる、ってのは悲しいですね。
特に、不動産投資をこれから始めようと思っている人に多いのですが、
少ない自己資金でどのような物件を買えばよいのか?
と、物件を買うことに注目してしまって、その後の運営のことまでしっかりと考えてない人は多いです。
しかし実は、不動産投資には様々な税金がかかります。
特に、購入時ではなく購入後に支払う税金には注意が必要です。
- 不動産取得税
- 所得税・法人税
不動産取得税
不動産取得税というのは、不動産を購入したこと自体に課税される税金です。
地域によって異なりますが、物件購入から半年後くらいに通知が届きます。
不動産=贅沢品ですので、贅沢する人には税金をかける。
そんな考え方なんでしょうけど、これが結構大きな金額になるんですね。
不動産取得税は、物件の固定資産税評価額の4%が基本です。(軽減措置もありますから詳細は調べてみてください)
仮に1億円の評価がある物件を買っただけで税金400万円ですから、大きいですよね。
所得税・法人税
所得税や法人税がリスクだと言われてもピンとこないかもしれません。
所得税や法人税は、利益に対して課税される税金ですから、
- 儲からなければ納税する必要は無い
- 利益を超える課税はされない
です。
であれば問題なく払えそうですよね。
しかし実は、気を付けておかないと破たんするほどのリスクなんです。
知っておかなければならないのは、
- 利益=手元に残るお金
ではないという点です。
ただしくは、
- 利益=売上ー経費
- 手元に残るお金=売上ー経費ー返済元本
です。
つまり、利益に比べて、手元に残るお金は少ない場合があるんですね。
原因は、融資返済のうち、元本に当たる部分が経費とみなされないからです。
元本返済の部分は、「借りたお金をそのまま返しているだけ」なので費用ではありません。
事業をやったことのある人にとっては当たり前の話ですが、この点を誤って理解していると、
思った以上に所得税・法人税がかかってしまい、納税できない。
なんてこともあり得ます。
とはいえ、予測できないリスクではありませんから、
利益と経費について正しく理解して、納税用の資金は確保しておけば問題はありません。
不動産投資のリスクTOP10と対策のまとめ
ここまで、不動産投資のリスクについてざっくりですが書いてきました。
多くのリスクがありますが、リスクがあるからと言って必要以上に恐れる必要はありません。
それぞれのリスクに対して、予測して対策を施しておけば、不動産投資はとても安定した投資だと思います。
そして繰り返しになりますが、もっとも重要なリスク回避策はこれです。
- 立地や条件を踏まえた上で、相場より安い金額で不動産を買うこと
相場より安く買うということは、持って良し売っても良し、つまり選択肢が多いということです。
選択肢が多ければ、目の前で起きたリスクに対して柔軟に対応でき、破たんリスクを大きく減らすことができるでしょう。
参考になさってください。
以上です。
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